打者の認知とピッチトンネル③
打者の認知とピッチトンネル①
打者の認知とピッチトンネル②
前回・前々回と、理論的な前置きをしました。結局私の頭でわからないことがわかったわけですが、ここからが本題です。結局ピッチトンネルをどう活用するのか、が一番大切な部分であります。
ということで、ピッチトンネルの原則を考えてみました。
① トンネルをできるだけ小さくすること(コントロールのばらつきを小さくする)
② よりストレートと同じ軌道・速度に近づけること
③ 軌道を外すボールを活用すること
④ 自分の特徴を生かすこと(身長・アームアングル・スピンレートなど)
⑤ 打者の気持ちや打者目線で考えること
◇① トンネルをできるだけ小さくすること(コントロールのばらつきを小さくする)
コントロールのばらつきを小さくする、とは「だいたい同じ輪っかを通す」ことです。
エンゼルス・大谷翔平が投げるストレートとスプリット。 pic.twitter.com/1pmcPH6AIY
— やま (@1Nobuhiro) 2018年11月3日
Here's a perfect 4 seam FB/2 seam FB tunnel overlay by @brandonmmann in ScratchReel form 👍🏻 pic.twitter.com/9qubSDnPki
— Driveline Baseball (@DrivelineBB) 2017年1月20日
この動画では、同じ軌道からボールが別れていってますね。ストレートに偽装してタイミングを外したり、ストレートに偽装して変化球を投げてます。
「だいたい同じ輪っかを通す」とは、ことで、変化球なのか、ストレートなのか判断させにくくすることができます。ボールのばらつきが大きいと、簡単に判断されてしまいます。できるかぎり近い軌道を通すことが大切です。
◇② よりストレートと同じ軌道・速度に近づけること
①でも述べましたが、ストレートと同じ軌道で他の変化球を投げることができれば、バッターを錯覚させることができます。そして変化するポイントができる限りバッター寄りになるとよいわけです。投手は、投手から見た変化量が気になるものですが、大切なのは打者目線です。「大きく曲げる」より「まっすぐ来てカクっと曲がる」ことが大切です。変化の大きさは小さくても構わないということです。
打者が「ストレート!」と判断して始動したら曲がる、のが良いでしょう。それがトンネルを通してから曲げることができれば、バッターの認知を上回ることができます。
速度に関しても、できる限り同じであれば偽装しやすいですね。ベースボールクリニックの神事先生の記事によれば、広島カープ野村投手(2018)のフォーシームは平均139.8キロ、ツーシームが138.9キロ、カットボールが138.5キロだそうです。私の推測ですが、ファストボール系統はフォーシームから5キロ以内に抑えるのが重要かと思います。
補足ですが、野村投手のスライダーは130キロ、チェンジアップは130.7キロだそうです。ほぼ同じ軌道(トンネルをくぐって)きて、少し遅いのでタイミングを外されます。これが「奥行き」になりますね(神事先生も指摘しておられます)。いわゆる緩急ということになります。これがあまり遅すぎたりしても、変化球であることがバレてしまうので、スライダーやチェンジアップはある程度の速度を保ちつつ、同じ軌道を通すことが重要ですね。
ちょっと長くなりましたので、ここで一段落します。続きは次回ということで。
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