2018年11月30日金曜日

自由と不自由



チーム運営について考えてみたり、実際に自分が監督やったりしてみることで、改めてコーチの重要性であったりスタッフの充実度が大切であることを感じました。そう考えると、監督は本当に自由で、自分の裁量次第でチームの方向性を決めることができます。

その一方で、コーチは監督の方針にしたがってやるしかいない、というところです。もちろん「したがってやるしかない」というモチベーションなんぞで私は動いていませんが、実際の関係性では「監督の意向に従う」ことはマストであります。それなくして、チームは成立しません。


♢監督によってぜんぜん違う
実際コーチとして8年やらせてもらって、現在9年目です。単純計算で入学~卒業のサイクルを3回目、ってところです。最初は右も左もわからず、「コーチって何をすればいいんだ?」という疑問だらけでした。そして先輩コーチに指導をしていただき、何度も当時の監督からも指導をしていただきました。

私自身は指導したチームが現在で3チームです。リトルリーグ・シニア・高校、と小さい子どもからほぼ大人、というところまで関わってきました。その間に監督が変わったりなんだりで、5人以上の監督さんの下で指導をさせてもらっています。そこで一番思うのが、「監督の求めるチーム像を実現させること」です。

「いいか、野球ってのはな・・・」と理論を懇切丁寧に教えてくださった方もおりました。「俺が監督で、俺がNOだったらNOなんだ!」という方もおりました(案の定衝突しましたが)。「自由にやってよ!どんどん教えてよ!」と言ってくださる方もおりました。それぞれたくさん学ぶことがあり、考えさせられることばかりでした。

そのなかで「自由にやってよ!」という方。この方の下でコーチをするのが一番やりやすかったです。「でもね、ここだけはちゃんとできるようにしておいて!」っていつも言われてました。なんといいますか、自由主義のなかにある最低限の法律とでもいいましょうか。必ず守らなければならないラインがありました。


♢コーチはある程度不自由なものである
自由に教えているときはそれほど思いませんでしたが、経験を積む毎に色んなことを考えるようになりました。「きっとこうしたらいいのにな」とか「ここがこうなら、もっとうまくやれるのにな」とか。もちろん提言はしますし、それが受理されない場合もあります。監督と大きく逸れてしまえば、一番は選手が困ります。なので、監督が願う形の育成をしなければならないわけです。そういう意味で、コーチはある程度不自由なわけです。


♢コーチはある程度自由である
しかしその一方で、コーチは勝ち負けを気にする必要がありません。実際の試合で勝ち負けは監督責任ですので、そこを気にする必要はないわけです。その意味で、一人ひとりに向き合うことができます。そういう意味では自由です。だから試合以上に気になるのは、試合のなかで選手たちがきちんと力を発揮できたかどうか、です。勝ち負けよりもプロセスが気になります。ヒットを打った事実よりも、どんな経過で打ったのかが気になります。無失点だったときでも、メカニズムと実際のボールと打者の力量が気になります。

♢監督を理解し、選手を理解し、チームを強くするか
したがって大事なのは、自分のチームの監督を理解することです。何を望み、どんなチームをつくろうとしており、どんな選手を欲しているのか。その材料を揃えるのがコーチの役割です。そこで選手の特性を生かして、よいところを育成し、監督に選んでもらうわけです。そこで監督が「違う」と言えば違うのです。こちらも説明はしますが、監督に合う合わないは正直あります。人間ですからね。


♢育成するのか、監督の理想に近づけるか
最善の育成方法を考えていると、現行のやり方ではうまくいかないこともあります。コーチは「育ってほしい!」ですし、監督は「勝ちたい!」なので、ある種矛盾が生じるんですね。そうなると、どこかで折り合いをつけなければなりません。その折り合いはどこでつけるのか?難しいポイントです。監督の世界観に貢献する必要はありますが、本質を見失ってはいけないのです。ここが難しいので、「ちょっと違うんじゃないかな・・・」と思うときもありますし、自分が判断を誤る場合もありました。ここはセルフコーチングのなかで養っていきたい部分でもあります。

2018年11月25日日曜日

監督としてやってみたこと





あまりやる機会は多くないのですが、1年生大会(リーグ戦)で2試合監督をやりました。うちのチームでは学年担当がいるわけではないので、1年生大会は他のスタッフとで順繰りで監督をしています。僕は17試合中、3試合しか采配していません。普段はピッチャー見たいのと、細やかなフォローをしたいのでベンチとブルペンを行ったり来たりしてます。今日は久々に監督をやったので、今日やってみたことと思ったことを書いておこうと思います。


♢ボールを打たずにストライクを打つ
これは勝つための真理だと思っています。シンプルなんですが、これができると強いです。データは後ほど探します。「打たないボールを決めよう」と声をかけて、目付けの位置を確認しました。投手の傾向からボールになるゾーンを分析し、そこ以外で目付けをしていきました。結果目付けしていないところで2ストライクになってもOKにしました。具体的な作戦面での取り組みは、実はこれぐらいです。

♢自走する状態をつくる
自走とは、勝手に選手たちが進んでいく状態です。監督が手をくださずとも指示を出したり、声掛けができる状態にすることです。「どうする?」と投げかけたり、促しをしつつ試合をしました。元々元気があるのですが、意識して積極性のある声を肯定してました。そうなると、勝手に対策し始めたり、ミスした選手にフォローしたりしていました。

♢役割を明確にする
交代を事前に伝えました。投手のリリーフも、代打も、守備交代も事前に伝え準備をしてもらいました。準備していれば結果が出る、ということを感じてほしいんですよね。




意識的に行っていたのは、これぐらいでしょうか。あとは気づかずなにかやっていたこともあると思います。ただやはり監督をやると、細かなフォローができません。試合に集中しなければならないので、ベンチの様子やブルペンの様子も見てはいますが、声掛け程度になってしまいます。あとは普段と違う作戦をとったりするので、サインミスが出ました。サインの意図を伝えきれないケース・理解できないケースであると、サインミスが発生します。

あとは勝負事なので、「次の一手・二手先」と「全体の展開」の両方を考えてました。ここの経験値が足りないな、とは試合通じて思ったところです。自分の展開パターンの読みが甘いので、選手交代を誤った場面があります。この経験値に関しては、何らかの手段で補填していかなければなりません。しかしまぁ、ずっと考え続けた1日だったのでかなり疲れました。結果気にせずウロウロしているのも楽しいですが、監督として野球について考えるのもすごく楽しいですね。

2018年11月23日金曜日

理由や意味を説明することが大事


理由や意味を説明することが大事



今日の練習試合の相手は、今秋大会で躍進した学校でした。昔からのいろんなご縁があるので、年に2回ほど練習試合をさせてもらっています。私より少し年齢が上の、若い監督さんです。いつも良く可愛がってもらっている方です。その監督さんとの試合後の会話が非常に印象的でした。

「今日俺静かじゃない?」と私に言いました。確かに、これまでは大きい声で指示を出したり、ベンチから怒鳴る様子がありました。それが今日はなかったのです。そうだな、と思ったので理由を伺ってみました。


「結局さ、怒鳴っても選手は怒鳴られたことしか覚えてないんだよね。だから新チームから止めたのよ、怒鳴るの。で、ちゃんと話をしようと思ってさ」


それが要因かどうかはわかりませんが、新チームは「何年ぶりの・・・」というぐらい大躍進しました。選手たちの表情が、野球に向いているのをなんとなく感じました。

♢ちゃんと説明する必要がある
これは「叱らない」ということではないと思うのです。そうではなくて、「何がダメだったのかをきちんと説明する必要がある」ということです。

『AI vs 教科書の読めない子どもたち』新井紀子

以前この本を読みました。もしかすると、「相手の言っていることを理解する」いうことは結構難しいことなのかもしれません。そうなると、全体に向けて話をしているとき、理解していない人も多いのだと仮定することができます。

だとすれば、

「かみくだいて」「はっきり」「個別に」説明することが、求められますね。我々が伝えたいことを伝えるには、「あなた」に向けて話をする必要がある。そして何が問題だったかを「明確」にし、相手に理解できるよう「簡単に」説明する。




♢「何が問題だったか」・「次にどうするべきか」
話をするときのテーマは2つで、「問題点を明確にすること」「次繰り返さないためにどうするのか」です。この2つについて話をすることで、無為に時間を過ごすことはなくなるはずです。

「失敗した→練習しよう」ももちろん大切ですが、
「失敗した→何が問題だったか?(なぜ失敗したか)→次にどうしたらいいか?→練習しよう」
が、練習までは時間がかかりますが、同じミスは繰り返さないはずです。もちろん何かアクションをすぐさま取り掛かる場合もありますが、その過程が明確でなければ練習が意味ないものになってしまいます。


♢感情的にならず説明し、かつ思いはきっちり伝える
私が説明や指導するときに心がけているのは、「感情的にならないように話をすること」「思いを伝えること」の2点です。相反するようですが、大事だと思っています。ワーッと怒ってしまうと、なんだかモヤモヤしてしまいます。うまく伝えきれないときもあるし、結局暴走して話を終わりが見えなくなってしまいます。なので、できる限り感情は排除して話をしたいのです。かつ、私が望むことやスタッフ側が望んでいる思いは伝えます。「どう思っているか」を伝えることで、私という人間を知ってもらい、本心で言っているということを感じてもらいたいのです。



とかく、叱ることは難しい。叱るとは?指導とは?説明とは?教育とは?悩みはつきません。

2018年11月20日火曜日

チーム運営そのまえに。


チーム運営そのまえに。



先日「ビジョン」の話をしました。チーム作りは「勝つ!」という目標では持続的な運営をすることができません。「勝つ、なぜなら私達は・・・・」と言われたほうが人は動きやすいようです。まずは「WHYからはじめよ」です。組織運営としては、短期的な目標達成と長期的な組織運営が求められます。「今年1年でよい成果を挙げる」こと、「持続的に発展し、よいチームであり続ける」ことです。

さまざまな目標を掲げて、「さぁ強いチームをつくろう!」と意気込みます。実際に練習をするそのまえに、良い組織であればできている事柄があります。思いつくままに考えてみます。



入り口と出口を整えておく・人数のバランス・環境を整える・役割の明確化・地域貢献



♢入り口と出口を整えておく
私が組織において大切だと思っていることは、「入り口と出口を整えておく」ことです。新しく選手が入ってきたときの受け入れ準備と、選手を送り出す出口の確保です。

チームに新しく入ってきたときには、右も左もわかりません。そのチームのルールを教えてあげる必要があります。そして、我々チームがどうやって野球に取り組み、どんな選手になってほしいのか、それらを伝える必要があります。入門編というのは、非常に骨の折れる作業です。しかし、自分たちがやっていることを改めて認識し直すことに繋がります。目的と手段が入れ替わっていないか、大きく問題を抱えている点はないか、チーム状況を認識することになります。「どのように新入生を受け入れるか」は再考の余地があると思います。

また、出口もしかりです。快く送り出してあげるということもそうですが、高校であれば進学先の保証であったり野球ができる場所を紹介することも求められます。ある意味ここが不確定だと選手はそもそも入学してこないことが増えてきました。将来を見据えて選択している選手が、近年は多いですね。快く送り出すことができれば、OBOGとして指導をしにきてくれることも多いですよね。OBOGらが頻繁にグラウンドに足を運んでくれると、現役選手たちの次のカテゴリへの意欲が湧いてきます。



♢チームに何人いれば、野球は上達するのか?
人数は関係ないのですが、少なすぎるとゲームができません。しかし多すぎると練習ができません。それぞれ問題はあるようですが、チーム内で紅白戦ができるほどの人数を確保しておくことで、実践的な練習は行えると思います。

正直、ここは現場のアイデアです。問題は人数と練習スペースの兼ね合いです。そのチームによって環境は全く違いますから、一様には言えません。環境・スタッフの数・選手の理解度によって全く異なります。

また、ポジションの兼ね合いもある程度考慮する必要がありますね。人数が少なければ複数兼任をすることは必要になります。逆に人数が多いチームではポジションの偏りが出てしまう場合もあります。近年では捕手の人数確保が難しいところですよね。負担の割に人が少ないです。私は比較的人数が多い高校で指導していますので、このバランスに気をつけています。学年30~40人ぐらい選手がいるので、学年単位で「ゲームがつくれる投手6人以上、捕手3人以上」を目標にしています。捕手は3人ですが、4人いてもいいかなと思っています。

2018年11月18日日曜日

キャッチャーの時代


とりあえず今のところ僕がグラウンドでやるべきことは、
・投手陣の育成
・打撃指導(2年生の中間層・1年生全般)
・捕手の育成(急務)


メインはこのあたりです。春までには、これらポイントを仕上げていく必要があります。とにかくグラウンドにいると時間がないので、どんどん動かないと間に合わなくなります。オフシーズンに入れば投手はそれほど投球することがなくなるので、定期的なプルダウン・トレーニングの管理・ストレッチやケアの方法を重点的に行っていく予定です。


打撃指導については、2本のカウンタースイングを駆使しながら、布教活動を進めています。「へいへいノーパワー!」とか「タンパク質が足りないよ!」という声が飛び交っているので、トレーニングに対する意欲はあるようです。スイングスピードと飛距離アップに集中的に取り組める時期でもあります。ある意味試合で打てるかどうかを気にしなくてよいので、こちらは動きやすくなります。


捕手の育成が急務です。固定捕手を置く時代ではなくなりましたが、ノウハウがあまり確立していない部分があります。リード面は試合中に話をしていました。春の練習試合解禁からは、徹底的に話をしていこうと思っています。それよりも捕手はキャッチング・ブロッキング・スローイングです。どこから取り組むかと言えばスローイングが一番時間かかるので、そこからはじめたいと思います。


もっともっとノウハウが確立していけば、私がいろんなことができるようになります。バッテリーをきちんと成立させるのは高校野球において重要なポイントです。たとえば私が他のチームで監督になったら、バッテリーをとにかく育てます。そして打者を育成します。この2つが、野球の勝敗にかなり関係してくるからです。投手と捕手の育成ノウハウ・打者育成ノウハウを自分が持っていれば、どのチームでも指導者として飯が食えるはずです。

強豪校間の投手力の差は、年々小さくなっていると思います。そうなったときに、差がでるのは捕手の力です。圧倒的なスローイング・ブロック能力・キャッチング。この3つだけで大きな差がつきます。とにかくそのノウハウを早く確立すること、これが私の任務です。

2018年11月15日木曜日

プルダウンと計測について


プルダウンと計測について

プルダウンとはいかなるものか?
グラウンドにいるときは、たいてい計測しています。ブルペンに投手がいれば計測をし、練習試合でも大概は計測をしています。スピードを意識させ、他人との違いを明確にしています。投手陣の動向をいつも観察しています。

8月の下旬ごろから「プルダウン(助走投げ)」を投球練習前にはやるよう指示を出しました。プルダウンの計測も行うことで、スピードを意識させています。


その後も計測と観察を続けているのですが、律儀に投球練習前にプルダウンを行う選手と、普段どおり入る選手がいます。私がいるときは「助走投げやってからだぞ」と言っています。毎度声をかけられるわけではないのですが、個々人の性格が現れているようです。計測を続けて5ヶ月以上経っていますが、一定の変化が現れました。これまでの数年間では見られなかった変化です。


・投手陣(16名)の全体的な球速アップ
・ブルペンでプルダウンを必ず行う投手の球速アップ幅が大きい


♢嫌でも球速を意識せざるを得ない
頻繁に計測していますし、ブルペンでは数字を読み上げています。露骨にスピードを言われるので、意識せざるを得ません。成長の度合いは露骨にわかりますし、評価基準も試合結果だけではなく、「スピード」があります。単純に調子が悪いのかどうかも、スピードに露骨に現れます。選手もそうですし、私も変化を感じやすくなりました。


♢プルダウンで球速アップ?
計測することによって、個々人の平均球速は高まりました。プルダウンは出力を大きくする練習ですから、逆に出力を下げる感覚も掴めているのかもしれません。そのため、出力を下げて制球するのでフォアボールが減り、ピンチでは出力を上げることができます。


ブルペンを観察していて、プルダウンを必ず行う2人の投手がおります。他の投手はやったりやらなかったりなのですが、その2人だけは必ず行っています。なんと6月の計測から、約10キロの球速アップに成功しています(プルダウンをはじめたのは8月下旬から)。
※補足ですがドライブラインが行う重たいボールを投げる、などは諸事情につきできていません。これは諸事情につき、です。やりたいのは山々です。

A投手は6月の時点で119キロ→11月半ばに132キロ
B投手は6月の時点で115キロ→11月半ばに126キロ

さすがに私も驚きました。他にも5キロのアップに成功した投手も複数名おります。


もちろん高校生なので、体が発達する時期ではあります。厳密に「プルダウンの成果」とは言い切れません。筋肉の発達や体の成長によるものでもありますし、計測することで意識が高まり、トレーニングを行っていたのかもしれません。もちろんトレーニング・ケア・柔軟性に関する指示もある程度出していますが。プルダウンの効果はとても大きいと感じています。


ただ、まだまだここからです。球速アップにはリスクが伴います。ストレッチ・可動域の確保・柔軟性の獲得・ケアの方法などやることはたくさんあります。やらなければならないことや教えなければならないことが沢山あるので、まだまだ私も学びます。そして多少球速は速くなりましたが、伸び悩んでいる投手もたくさんおります。我がチームの投手陣は、皆成長の芽があります。私はその芽を摘まず、全員が今より球速アップを願っています。全員がさらにパワフルな投手になってほしいので、そのためのサポートをしたいと思います。

2018年11月14日水曜日

「全国大会へ行こう!」だけでは難しいので。


「全国大会へ行こう!」だけでは難しいので。

「ビジョン・ミッション・バリュー」

 組織を形成していくときに、企業では「ビジョン・ミッション・バリュー」という3つを定義するようです。世の中では多様な考えがありますが、これを定義するからこそ、自分たちがどんな行動をするのかが明確になります。むしろこの定義がなければ、行動に迷いが生じます。組織のスタートアップの段階で明確にし、会社が、組織が、社員がどんな行動をするべきなのかが明らかになります。

 ●ビジョンとは「将来の見通し」ということです。どんな将来を形成したいか、ということです
例:KIRINグループ 
「日本をいちばん元気にする、飲料のリーディングカンパニーになる」

 ●ミッションとは「使命」や「存在意義」です。ビジョンの達成のためにどんな行動をするのか?ということです。
例:KIRINグループ 
「新しい飲料文化をお客様と共に創り、もっと元気と潤いをひろげていく」

 
 ●バリューとは価値基準のことです。社員の行動指針でもあり、共通の価値観です。
例:KIRINグループ 
「お客様にとって新しい価値」「お客さまの安全・安心、おいしさへのこだわり」「お客様・パートナー・地域とのWin-Win」「熱意と誠意」


♢「全国大会へ行こう!」だけでは難しい
小難しい話はさておき、これらを野球に置き換えてみます。「目標設定」と勘違いされてしまう場合があるかもしれないのですが、それらとはまた少し別の話です。目標設定をすると、「〇〇高校に勝つ!」とか「〇〇大会ベスト8!」とかそういったことが掲げられます。

しかし、「なぜベスト8に入ることが大切なのか?」「なぜ勝つことが大切なのか?」これらの問いを投げかけられると、困ってしまいそうです。実際に意味があるのは、「目標達成する力」や「ベスト8に入るまでの努力の過程」であって、「ベスト8に入ると何かが変わる」わけではないですよね。

プロ球団などは「勝つことで地域を盛り上げたい」「ファンに喜んでもらいたい」などの行動指針があります。つまり「勝つ=勝つ」ではなく、「勝つ=地域が盛り上がる」という、本来のスポーツの目的以上のものになるわけです。

♢「自分たちの行動が、大きなものにつながっている」という感覚
今夏の金足農業高校の活躍は、秋田県の活性化に繋がりました(応援やセールなどの経済効果はもちろんあり)。「勝って秋田を盛り上げたい」などの言葉があったように、高校野球が地域貢献につながっているわけです。

「自分たちが行動することで、こんな社会になる」というのがまさにビジョンです。そうなると、1回のスイングだって大きな意味があるんだと感じてほしいのです。僕だったら、「日本の野球が世界一のスポーツになっていたらいいな!」というのがビジョンです。ビジョンの元々の語源が「見えること」です。私は、テレビでは海外選手が「日本球界へ挑戦!」として来日したり、日本人が高年俸で海外でプレイしたりする姿をイメージしています。


♢「俺はこのために生まれているんだ!」という使命感
 「使命」というとなんだか思っ苦しく感じるところもありますが、きっとあなたにしかできないことってありますよね。今のチームを変えること、情報を伝え広めていくこと、よりよい方向へチームを導くことなど。僕はもっと野球界を前進させたいとおもっています。これがミッションです。自分がミッションを果たすことで、ビジョンが実現します。つまり、「ミッションの先にビジョンがある」ということになりますね。


♢「どんなことを大切にするか」というのが価値基準
もし金足農業高校に所属をしていたら、秋田県を大事にしたいですよね。地域のゴミ拾いをしてみたり、秋田県のよいところをPRしてみたり、応援に来てくださった方々への感謝というものは欠かさないですよね。プロ球団であれば、地域の少年野球への野球教室を行ったり、ファンを大切にするためにファンイベントを行ったりします。それは「地域の人々に支えられている」からであり「ファンに支えられている」から、「地域の人々やファンを大切にする」わけです。これがバリューになります。ミッションのための行動規範といったところでしょうか、使命を果たすために行動基準といいましょうか。

「日本の野球を前進させたいので、〇〇する」みたいなことです。

私であれば、「学び続ける」「指導方法を伝え広める」「眼の前の選手のパフォーマンスアップ」「自立した野球人の育成」「世界で活躍できる選手の育成」「野球の面白さを広める」「より強い組織へ導く」などですかね。考えてみたら色々ありました。


♢これまでは思ったよりも不明確だったかもしれない
自分自身の行動を振り返ってみて、思ったよりも不明確な点が多かったです。「ビジョン・ミッション・バリュー」に当てはめて考えてみると、自分が何をしなければならないのかは明確になります。無意識に生きるのは簡単ですが、より意識的に活動しようと思った次第です。自らのチームの組織づくりに当てはめて、考えてみてください。

2018年11月11日日曜日

打者の認知とピッチトンネル④


打者の認知とピッチトンネル④

打者の認知とピッチトンネル①
打者の認知とピッチトンネル②
打者の認知とピッチトンネル③

~ピッチトンネルの原則~
① トンネルをできるだけ小さくすること(コントロールのばらつきを小さくする)
② よりストレートと同じ軌道・速度に近づけること
③ 軌道を外すボールを活用すること
④ 自分の特徴を生かすこと(身長・アームアングル・スピンレートなど)
⑤ 打者のきもちや打者目線で考えること


①・②は前回の投稿を参照していただきたいと思います。

今回は解説の続き。


◇③ 軌道を外すボールを活用すること
打者はリリース後にボール軌道の判断をしています。はじめのおよそ0.19秒段階です。リリースからの軌道を予測して、「ストライク」か「ボール」かの判断をするようです。

この段階で「あ、これはボールゾーンだわ」と思わせることができれば、打者は反応できません。
または、トンネルを有効活用している投手であれば、打者はトンネル付近に集中しています。そこで「あえてトンネルを早く」外すことで、打者が反応できなくなるわけです。

そこで有効的なのが、カーブです。

空振りの場面はストライクゾーン(トンネル)から曲げる、見送りはおそらく打者が一瞬「ボール
」と判断したためでしょう。ストライクゾーンから外れるため、打者が反応できないのです。


また、いわゆる「バックドア」「フロントドア」と呼ばれる投球術もここに含まれると考えています。
・ツーシームをボールゾーンからストライクゾーンへ
・カットボールをボールゾーンからストライクゾーンへ
→空振りを奪うのはストライクゾーンからボールゾーン、
 見逃しを奪うのはボールゾーンからストライクゾーン
トンネルを外し、ボールゾーン軌道で投げ、打者の反応を遅らせてます。



空振りするときと、見逃しのときの違いを見ていただきたいです。


〜追記〜
◇④ 自分の特徴を生かすこと(身長・アームアングル・スピンレートなど)
①~③というのが、ある種原則中の原則であります。本来は個人の特性をある程度ふくめて考えることで、効果を最大にすることができると考えています。その要素として、

・身長
・アームアングル
・スピンレート(回転数)や回転軸

の3つです。

いろんなパターンがあり、それぞれに強みがあります。

●高身長×アームアングル高
クレイトン・カーショウ(身長193cm) Wikipedia参照
フォーシーム平均153キロ
スライダー平均140キロ前後
カーブ110キロ
まれにチェンジアップ

12-6カーブは有名ですが、割合として多いのはスライダーです。ストレート軌道からストンと曲がるスライダーで空振りを多く奪っています。右打者からも空振りを奪うところから、縦変化の要素があります。高身長でアームアングルが高い投手は、縦変化が有効的になります。低めの直球と思って振りに行くと、バットに当たらないのでしょう。


●高身長×アームアングル低
クリス・セール(198cm)
フォーシーム平均 153キロ
スライダー平均129キロ
チェンジアップ140キロ
https://www.youtube.com/watch?v=t1krPxXfgKQ&t=192s


アームアングルが低いですが、身長の高さと腕の長さを生かして横変化を使っています。元々はツーシームも多投していたようですね。左打者に対するスライダー、右打者に対してもバックドアスライダーで三振を奪っています。ストレートの球速もあるので、高めでファールを打たせることができますね。


●低身長×アームアングル低
クレイグ・キンブレル(182cm)
フォーシーム平均158キロ(2017年)
ナックルカーブ
ツーシーム
チェンジアップ
言わずとしれた最強クローザーです。特徴的なのは低めのアームアングルから投げるストレートです。「浮き上がってくる」と評価されることがあります。




◇それぞれ特徴を生かして投球する
高身長ならば高めを投げるよりも、低めが効果的になります。自ずと縦の変化が有効になります。アームアングルが低くて腕が長いのであれば、横の変化が生きます。スピンレートについてはあまり触れていませんが、高スピンレートなら高めをつかったボールですし、低スピンレートなら、低めでしょう。それぞれの強みを生かして投げることですね。


◇ ⑤ 打者の気持ちで考えること・打者の目線で考えること


この記事を読むと、打者の目線で考える重要性を知ることができます。バッターの目の位置や、反応しにくい位置があるようです。

2018年11月10日土曜日

打者の認知とピッチトンネル③


打者の認知とピッチトンネル③



打者の認知とピッチトンネル①
打者の認知とピッチトンネル②

前回・前々回と、理論的な前置きをしました。結局私の頭でわからないことがわかったわけですが、ここからが本題です。結局ピッチトンネルをどう活用するのか、が一番大切な部分であります。


ということで、ピッチトンネルの原則を考えてみました。

① トンネルをできるだけ小さくすること(コントロールのばらつきを小さくする)

② よりストレートと同じ軌道・速度に近づけること

③ 軌道を外すボールを活用すること

④ 自分の特徴を生かすこと(身長・アームアングル・スピンレートなど)

⑤ 打者の気持ちや打者目線で考えること




◇① トンネルをできるだけ小さくすること(コントロールのばらつきを小さくする)
 コントロールのばらつきを小さくする、とは「だいたい同じ輪っかを通す」ことです。



この動画では、同じ軌道からボールが別れていってますね。ストレートに偽装してタイミングを外したり、ストレートに偽装して変化球を投げてます。
「だいたい同じ輪っかを通す」とは、ことで、変化球なのか、ストレートなのか判断させにくくすることができます。ボールのばらつきが大きいと、簡単に判断されてしまいます。できるかぎり近い軌道を通すことが大切です。


◇② よりストレートと同じ軌道・速度に近づけること
①でも述べましたが、ストレートと同じ軌道で他の変化球を投げることができれば、バッターを錯覚させることができます。そして変化するポイントができる限りバッター寄りになるとよいわけです。投手は、投手から見た変化量が気になるものですが、大切なのは打者目線です。「大きく曲げる」より「まっすぐ来てカクっと曲がる」ことが大切です。変化の大きさは小さくても構わないということです。


打者が「ストレート!」と判断して始動したら曲がる、のが良いでしょう。それがトンネルを通してから曲げることができれば、バッターの認知を上回ることができます。

速度に関しても、できる限り同じであれば偽装しやすいですね。ベースボールクリニックの神事先生の記事によれば、広島カープ野村投手(2018)のフォーシームは平均139.8キロ、ツーシームが138.9キロ、カットボールが138.5キロだそうです。私の推測ですが、ファストボール系統はフォーシームから5キロ以内に抑えるのが重要かと思います。

補足ですが、野村投手のスライダーは130キロ、チェンジアップは130.7キロだそうです。ほぼ同じ軌道(トンネルをくぐって)きて、少し遅いのでタイミングを外されます。これが「奥行き」になりますね(神事先生も指摘しておられます)。いわゆる緩急ということになります。これがあまり遅すぎたりしても、変化球であることがバレてしまうので、スライダーやチェンジアップはある程度の速度を保ちつつ、同じ軌道を通すことが重要ですね。


ちょっと長くなりましたので、ここで一段落します。続きは次回ということで。

2018年11月9日金曜日

打者の認知とピッチトンネル②


打者の認知とピッチトンネル②

前回のまとめ
・1.9秒で判断する=8m弱で軌道を判断する
・0.25秒で打ち出す(動き出す)必要がある(およそ10mぐらいか)

ということになっているようです。


もともとピッチトンネルは打者から7.2mほどのところにある、と定義されているようです。ここで私が見逃していた「エクステンション」を含めておきます。






MLB公式より
エクステンション:プレートからリリースの距離。おおよそ180cmとされています。

それを含めると・・・・・細かい数値が合わなくて困ってます\(^o^)/
16m換算で計算すると、ますますわからなくなってきました。改めて考え直します。



いずれにせよ、「動き出すポイント」=ピッチトンネルと考えられます。認知的な限界ではなく、どこで動き出すかが大切になるので、ボールのスピードによってポイントは変わるのではないか?と考えています。よって、7.2mという数値は何者なのだ・・・という疑問は尽きません.

しかし元々の計算で考えれば、10~11mにボールが来るあたりで打者は始動するようのなので、

同じ軌道で投球すること(トンネルを小さくすること)
始動した(前も?)あとで変化させること

ここがファクターになることは変わらないようです。


まとまりがなくて申し訳ありません。不勉強です。次回は実際に現場で活用したり、考え方をまとめてみたいと思います。

参考:Baseball Clinic 11月号  科学データが導く野球の新常識(神事努)
Baseball Prospectus

打者の認知とピッチトンネル①


打者の認知とピッチトンネル①



ここ数年はピッチトンネルという概念が普及してきました。言葉だけが先行し、私の理解も追いついていなかったので、ここに記録をしておこうと思います。とりあえず今日は打者の認知について。


このピッチトンネルについて考える場合、はじめには打者の認知について考えなければなりません。
以下の画像は打者がボールをとらえる際のメカニズムを解説しています。英語が多くてあまり自自身がありませんが、他にも集めた情報と照らし合わせながら進めます。神事氏の記事から引用しますが、Baseball Prospectusと多少の誤差があります。それも問題ない範囲かな、と個人的に判断しております。

 (引用元:Baseball Prospectus)


◇打者の認知 (以下神事氏の記事から引用)

球速140キロ前後の投球は約0.45秒で打者の手元に到達
脳が指令を出してから「振る」と決めて動き出すまで0.1秒
実際に動き出して投球にコンタクトするまで0.26秒
リリースしてから0.19秒の間で打つかどうかの判断をする(0.45-0.26=0.19秒)
※実際にスイングはじめてから軌道を修正する余地はわずかである、としている

ここに関してはBaseball Prospectusでもほぼ数値は一致しています(あたりまえか)。
画像であればリリースから3つめの矢印の部分(50ミリセカンド)のうち、25ミリセカンドで判断しています。ここで数値を足すと、
100+75+25=200 
なので、これは約0.2秒換算となります。


◇およそ0.1秒で投球は4mちょっと進行する

約0.45秒でホーム付近に到達するとなると、0.1秒あたりに4.1m進みます。
となると、0.2秒ではおよそ8m進行しています。この段階で打者が「ボールだ」と判断すれば振らないわけですし、軌道がストライクゾーンにくれば打つ準備をはじめるわけですね。


◇少なくとも振って当たるまで0.16秒かかる

振ってあたるまで0.16秒かかることを考えると、少なくとも投球から0.25秒ほどで振り出さないといけません。図では4つめの矢印にあたります。そしてそこには黒の吹き出しで「バッターがスイングをはじめるポイント」とかかれています。そうなると、ボールはおよそこの時点で10.25m進んでいることになります。ここではもう打つ軌道や予測は決まっていますから、それを覆すことは難しいです。


ガバガバ翻訳&ガバガバ計算なので、ぜひデータ系に強い方が厳密なものを解説していただけると助かります。続きはまた後日。




参考:Baseball Clinic 11月号  科学データが導く野球の新常識(神事努)
Baseball Prospectus

2018年11月5日月曜日

配球と『野村ノート』


配球と『野村ノート』


 ある種日本の野球神話として成り立っている「困ったときのアウトロー」信仰。この信仰を作り上げたのは、かくいう野村克也氏である。今も評論家として活躍されており、本もたくさん出版されている。本屋の野球コーナーに行って、野村克也氏の本がない本屋はないだろう。日本球界における野村克也氏の影響力は凄まじいものである。ダウンスイング信仰を結果的に生み出すことになった王貞治氏(実際はまったくダウンではない)や川上哲治氏も凄まじいが、捕手理論、配球論に関する野村克也氏の影響力は、とどまることを知らない。その一端を担っているのは、『野村ノート』である。



はっきり言えば、私はこの『野村ノート』によって育てられたといっても過言ではない。選手にも度々紹介し、中学生用に簡単にまとめたテキストを配布したこともある。そして今でも捕手には読むことを奨励している。職人肌が強いプロ野球選手に「社員教育」を行い、弱者の兵法によって野村氏が率いたチームは、たびたび球界にトップに立った。まぎれもなく『野村ノート』は名著であると言えるし、『野村ノート』が販売される以前から「ID野球」としてデータを活用した野球は、現代野球の萌芽とも言ってよいだろう。しかし、時代の変化はときに残酷である。


●「困ったときのアウトロー」が通用しない
近年のMLBでは、アウトローでさえもHRにする場面をよくみる。「骨格の違い」と言ってしまえばそうだろうし、「パワーがあるから」という言葉で解決もできる。しかし実際にMLBで起こることは、NPBでも起こりうる未来である。「ダウンスイング信仰」と「アウトロー信仰」はそれぞれ仲がよいので、手を組んでいるうちには問題がない。しかし徐々に日本球界も変化が起こっている。HRが飛び交い、空中戦が多かった日本シリーズ。広島カープ鈴木誠也選手のライトへのHRは、新しい時代の到来を感じた。


●変化球の種類と高速化
NPBにおいても、リリーフ投手は150キロを超えるか、なにか特筆すべき特徴がないと活躍しにくい印象を受ける。事実、ソフトバンクのリリーフ陣は150キロを超えている投手ばかりだった。実際データでは、日本人打者は150キロ以上の球速に弱いことがわかっている。活躍する投手陣は、やはりストレートが速い。変化球の種類も、いまでは区分することが意味がないほど多様化している。フォークほど落ちるツーシームや、大きく曲がるスライダーとパワーカーブの違い。厳密に区分する意味はあると思うが、野球を知らない人が見たらなんの事かわからないだろう。




●『野村ノート』がベースになっている時代
今では「内外の対になる変化球」「インコースの使い方」など、『野村ノート』に書かれていることは広く普及している。ある意味スタンダードになった、といっても大きく間違いではない。カテゴリの上位層同士の戦いであると、その駆け引きが伺える。カウント3-2からフォークで空振りをとる大学生もよく見かける。「野球のベーシックな考え方」として野球の思考法としての『野村ノート』の意義は大きい。しかし残念なことに、以前は「知識がある」ことが優位に働いたが、今では知識があることの価値が下がっているフシがある。『野村ノート』を読んでも、ベースとなる学びにはなるが、勝ちに貢献できるかといえば難しい問題である。


ピッチャーの進化があり、バッターが進化し、知識が共有化されていっている。その先に、どんな「配球」があるのか?まだまだ思考の余地が残されている。

2018年11月4日日曜日

ザッカーバーグのスピーチ



大変申し訳無いのですが、私倉本圭三さんをよく知りませんで、あまりご説明ができません(経済思想家・経営コンサルタントとされています)。ただTwitterのタイムラインでザッカーバーグのハバード大学卒業式スピーチを翻訳された、というのを見て読んでみた次第です。勇気づけられる内容だったので、此処に記しておきます。

スピーチとして有名なものはスタンフォード大学卒業式のスティーブ・ジョブズのスピーチが有名ですよね。それに匹敵するほどのものだ、と言われているそうです。




マーク・ザッカーバーグの説明です。(Wikipediaより)
マーク・エリオット・ザッカーバーグMark Elliot Zuckerberg1984514 - )は、アメリカ合衆国プログラマ実業家Facebook共同創業者会長CEO
ハーバード大学在籍中にソーシャル・ネットワーキング・サービスサイト「Facebook」を立ち上げた[注釈 1]2010年のTime誌「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。

もっと簡単に言うとFacebookをつくった人です。「時短や意思決定のために同じTシャツしかきない」といったことでもしばしば話題になりました。大学生の頃、ビジネス書をかじるように読んでいたので、もちろん関連書物も読んでおりました。


以下スピーチの簡単な要約
我々世代(青年期)の課題は「目的を持つこと」ではなく「誰もが目的感を人生のなかで持てる世界を創り出すこと」である。目的とは、「自分がちっぽけな自分以上のなにかの一部だ」と感じられる感覚のことである。目的が幸福感を創り出す。NASAの清掃員に「何しているの?」と聞くと「宇宙にいくお手伝いをしている」という。つまり掃除であっても「自分は宇宙開発に間接的に貢献している」と感じているということ。これが幸福だということ。それをみんな(世界中の)にもってもらうように努力するのが、我々世代である。

「自分じゃなくても誰かがやるだろう」という感覚は、誰しもが持つ。将来起こるべき変化が見えていて、きっと変革が起こるだろうという思い。それは、「誰か」ではなく「あなた」がやるのだ。そのあなたが感じている革新的なことは、あなたがやらなくてはいけない。それはあなたの目標である。そしてあなたは他の人にもその「人生の目標」が持てるようにしてあげなくてはならない。


その「目的感」を持ってもらうための3つの方法がある。
大きくて意味のあるプロジェクトについて語り、失敗の自由を許容し(チャレンジすること)、ローカルなコミュニティをつくること。この3つによって、

まずは、大きくて意味のあるプロジェクトについて語る。大概の場合は、大きな目標に向かっているすべての人は、狂人あつかいされる。しかし、答えは誰も知らない。そもそもザックがFacebookをつくるときにすべてを知ってからつくったわけじゃない。大きなプロジェクトやアイデアの種は、本当に正しいかどうかわからない。でも誰かがはじめ無くてはならない。

そしてそれと同時に、チャレンジすること。すべては失敗から生まれれている。失敗せずにいる起業家は存在しないし、そもそもFacebook自体が色々失敗続きだった。

そして、ローカルなコミュニティをつくる。我々はグローバル社会にいるが、問題は目の前にある。小さな、小さな問題解決からことは始まる。だからローカルコミュニティをつくる必要がある。

以上要約。


いやはや、要約もなんだかしどろももどろで、難しいです。なんか思ってたのと違うのですが、とりあえずそれはそれとして。ここから私が思ったこと、感じたことです。


責任感
まずハッとしたのが、
「しかし「誰か」がやるんじゃないんです。あなたがやるんです。」

という言葉です。
野球界における今後の将来。これは皆さんがいろんなことを考えておられます。私ももちろん考えています。「俺がやってやる!」という思いももちろんあります。でも、「きっと世の中が変わっていく」と思っていた節も否めなくはないです。でも、この一文で責任感を感じました。次の世代のために、自分がやらなければならないことを感じました。
「野球が再び世界の頂点をとる」ことを、私は目標にしています。また、「100年後も野球を残したい」ということも、目標にしています。そして次の世代には、野球の楽しさや面白さを継承していってもらいたいのです。私はやまほど勉強をして、目標を達成します。

わからなくたっていい
正直言えば、目標を達成するためのプロセスは全然見えていません。私はひたすらに学び、よりよい成果を上げることが第一だと考えています。

「大きな目標に向かっているすべての人は狂人扱いされます。」

そのために答えは知らなくていいのです。むしろわからないのが当然です。そしておかしな人であってよいのです。むしろ狂人でなければ、そうはならないのだと思います。当然ですよね、時代から逸脱したことをしているのですから。少しホッとしたような、安心したような、そんな感覚を覚えました。


グローバルに考え、ローカルに動く
ソニーの森田昭夫氏は「グローバルに考え、ローカルに動く」と言いました。世界的に視野を広げ、いかに草の根運動として地道な活動ができるか、です。結局は目の前にある課題に対処しなければなりません。私も今のチームが抱えている課題を、ガンガン解決していかなければなりません。おそらくですが、その過程のなかで賛同者が生まれます。その賛同者とともに、小さな波をつくっていくのです。

Twitterなども1つのローカル・コミュニティです。またはラインのグループなどもそうです。もちろん生身でも形成できるはずです。そういったローカル・コミュニティがあって、それが大きな波になっていくんですね。



すごく雑多な感じになってしまいましたが、本当に感動したのです。勇気をもらいました。これでまた、前に進むことができそうです。

監督とコーチ③


監督とコーチ③



監督とコーチ①

監督とコーチ②



監督とコーチ①・②で、それぞれの役割について論じてきました。監督は最終調整役であり、コーチはそれまでの過程を担っています。料理で例えるなら、下準備をするのはコーチ、最後の仕上げが監督です。世界観を作り上げることが成果を上げる集団の特徴だとして、監督はその世界観を構成する構成作家であります。コーチは、そのなかで「踊れ」と言われた踊らねばなりません。これは言いなりになる、ということではないのです。監督が構成する世界を成立させる必要があります。それも、集団に必要な一部なのです。

結局両方共に求められるのはバランス感覚
つまるところ、監督・コーチに求められるのはバランス感覚であると考えています。野球はスキルが多いので、たくさんの練習をある程度求められます。「打つ・走る・投げる・捕る」という4技能です。そしてそれを相手に合わせて行わなければなりません。いわば「スキル練習」と「ゲーム練習」は別なのです。

「ゲーム練習」は、みんな大好き「ゲームノック・バッティング」「紅白戦」「練習試合」などがゲーム練習です。これらの練習はゲームを遂行する能力を高める練習になります。
「スキル練習」は、通常の打撃練習やノックなど、スキル向上のための練習です。

ゲームノックなどは、スキル練習のうちに入りません。練習にならないことはないですが、受ける本数が圧倒的に少ないことと、「判断する練習」がメインだからです。ある程度は量や時間を投資しないと、能力は成長しません。

反対にスキル練習をたくさんやることは大切なのですが、野球には必ず状況がくっついてくるので、その判断する練習をしなければなりません。かつ判断も短い時間のなかで実行する必要があるので、実際の試合でなければわからないことがあります。

つまり、スキルを伸ばしたいコーチと、試合に勝ちたい監督。ここが矛盾する点があるということです。試合に勝つためには、いくらスキル練習をしてもゲーム性を高めなければいけません。反対にゲーム性ばかり求めも、選手はうまくならない。往々にして、監督が練習プログラムを決定する権限を持っているようです。そこでゲーム性に関することを多く取り組み、個人のスキルが高まらない・軽視される傾向にあるように思います。いずれにせよ、「育成」と「勝利」のバランス感覚が、双方に求められるところです。


コーチは監督の目線を持ってみる
正直言えば、私も監督をしたことがあるわけではないので、よくわからないことだらけです。以前に1年間ほど下級生を監督する機会があったので、そこでコーチと監督の違いを感じたのが元になっています。

やはり自分が主導するようになると、以外と見えていない部分に気づきます。「時間管理」と「練習運営」で手一杯だったので、そのときは肝心の指導にまでなかなか行き届かないことが多かったです。そうなると、コーチがきちんと練習の意図を理解し、運営に協力してくれると助かりました。

やらなきゃいけないことや、やりたいことは、たくさんあります。1年後にはどういう集団・選手になってほしいか、を踏まえ、「1年間」のなかで、「どの能力」を、「どういった方法」で伸ばすか。そしてそれを細分化して今日のプログラムとして、どうやって落とし込むのか。監督はそこをいつも考えているのだ、と気づきました。とにかく時間との戦いですから、今日の練習で最大の効果を上げ、きちんと家に帰さなければなりません。これまで感じたことのない責任を感じました。


そしてそのなかで、試合に勝たなくてはならないのです。やはり監督は「見る」ことに徹したいですよね。私が監督ならば、指導するのもそうですが、「自分が教えなくても良い仕組み」をつくり、コーチと選手を「自走」させ、ゲームマネジメントに集中したいです。

そう感じたからこそ、コーチは勝敗関係なく選手との指導に徹する必要があると思うのです。とにかく選手を育成することを考えるのです。監督は時間管理をして、観察をしております。そこで私達コーチが指導をします。監督はある程度時間内で練習を回したいので、あまりオーバーして指導されるのは好まないと思われます(これは監督の好みでしょうが)。だから、練習をまわすために指導する際には時間に気をつけなければならないし、「時間対効果」を高めなければ多くの選手を教えることができないのです。

やっぱりスポーツっておもしろい
ラグビー日本代表には、数多くのスタッフがおります。昨日優勝したソフトバンク、ゲーム終了後には、選手たちがたくさんの球団関係者と握手をしておられました。優勝するというのは、チームが勝つというのは、たくさんの人の努力によって成立しています。決して監督と選手だけの手柄ではないです。数多に渡る支えがあって、はじめてそれが成り立ちます。だからこそ、「勝って恩返し」がしたいですし、野球ができることに「感謝」をし、現場にいるものは「人間性」を高めて成長していかなければなりません。

そう思うと、スポーツをするということは、そういった社会構成を学ぶことができる機会になるのです。これが「教育の一環」という意味だと思います。教育の一環という言葉ばかりが先走っている様子が、なくはないです。私が常々思うのは、本気で野球に取り組み、本気で成長を願うからこそ、「教育の一環」として人間性の成長があるのだと思います。私は、技術や野球自体を追求した先に、人間性の成長があると考えています。もっと成長したいと思ったときに、支えてくれる方々がいる。だから、その方々のためにも成果を出したいと思うはずです。そこが人としての成長であり、「人間力」なのだと思います。我々野球指導者は、その責任があります。







2018年11月3日土曜日

監督とコーチ②


監督とコーチ②


次はコーチのことを書こうと思って、自分の本棚をさらっと見てました。しかし「コーチ論」を書かれたものは案外少ないんですね。監督や指導者の本はありますが、コーチの本というのは、どうやらスポットが当たらないのかもしれません(Amazonを見ると出てきますが)。「人がやらないことはチャンス」ですから、参考文献が少ないなかで思うことを書いてみたいと思います。

●教えるに人間に求められるもの
大学生のとき、某ハンバーガーショップで4年弱アルバイトをしていました。最終的にマネージャーも1年半ほど経験したのですが、マネージャーになる前はトレーナーという、新人アルバイトに業務を教える役割を1年ほど経験させてもらいました。会社から勉強する時間を与えられて、色々勉強をするのですが、トレーナーには「4つの役割がある」ということを学びました。
その4つが、

「エキスパート」「ロールモデル」「ティーチャー」「コーチ」の4つです。

簡単に説明します。
「エキスパート」:マニュアル通りに正確で、ピーク時においても正確に行動できる(プロフェッショナル)
「ロールモデル」:他人の模範となるような行動・言動をしている
「ティーチャー」:新しい業務や商品の作り方などを正しく教えることができる
「コーチ」:やり方を一緒に考えたり、同じ方向を向いて考える


もう少し解釈を加えると、教える人間に求められるのは
・プロフェッショナル(専門性が高い)であること
・人間的に成熟していること(他人の模範となるような行動・言動)
・教えるプロセスを理解していること(段階を踏むなど、HOWの部分)
・同じ方向を向いて考えることができる

ということだと考えられます。今思い返せば、「確かにこれはそうだな」と改めて感じるので、某ハンバーガー店のマニュアル力はすごいですね。確かに新人で入って、教えてくれる人が怖かったりいい加減だったら嫌じゃないですか。野球においても選手と密接に関わり、人間的資質が求められるポジションであります。


●ティーチングとコーチングの違い
そこでよく誤解されがちなのですが、「ティーチング」と「コーチング」の違いです。ここがわかると、指導者業は結構円滑になるような気がしています。
以下を参考にしておりますので、こちらも御覧ください。

そして簡単なまとめとして、
「ティーチングは一方通行で、コーチングは双方向」
ということです。
結構あるじゃないですか、伝えたいことだけワーッと言ってしまうこと。私もよくあります。それは正直相手に押し付けるだけになってしまうので、相手に投げつけるだけになってしまいます。こっちが一方的にプルダウンしてる、みたいな感じです。そしてそれを受け止められない場合もあります。

コーチングとは、相手に合わせた形でボールを投げてキャッチボールをするのです。そこで最終的に普通にキャッチボールができるように、そしてお互いプルダウンし合う、みたいな。きちんと相手と同じ熱量で同じ方向を向いて、話を進めることです。



●コーチングは同じ方向を向くこと
コーチングに関しては『コーチングマネジメント』(伊藤守)がおすすめです。これは本当に名著です(Amazonレビュー3.7でレビュー数46)。

この本の一節にこんなものがあります。
「(コーチングのイメージとして)コーチとクライアントが同じキャンバスに向かって座り、コーチはクライアントが未来に向けてビジョンを描くのを手伝う」


これなかなかできないですよね。立場関係があるので、選手とコーチで必然的に上下関係ができてしまいます。だから、率直な意見や感想が聞けない場合があります。しかし、コーチが同じものを見ようとすることは大切です。同じ方向を向くこと、そして同じものを見ること、会話をすることです。否定せずに聞き、一緒に考えることです。


●結局野球に求められるコーチ像とは?
以前のチームで常々言われた言葉が、いつも頭にあります。
「いいか、監督は最後の味付けだ。コーチが下準備して、ほとんど完成させる。お客様に出すときに初めて、かるく塩をを振るのが俺だから。俺は最後の調整役なんだよ」

これを反対に考えれば、
「最後の調整以外は俺の仕事じゃないよ。だからちゃんと下準備して、いい食材を頼むよ。」
なんですよね。コーチの役割は、「選手を育成すること」にほかなりません。監督とのやり取りで「選手がいない」と発言が多々出てくる場合があります。それって、我々の職務放棄ではないですか?


「誰もいない」というのは、必要なときに準備できないということですから、コーチとして如何なものか、と。諸々事情があるとして、まだ発展途上であるとか、怪我明けであるとか、そういう付帯状況があるのかもしれませんが。事情があるにせよ、「提供できる食材をつくる」というのがコーチ陣の責務だと考えています。







監督とコーチ①


監督とコーチ ①


日本では指揮官のことを「監督」と呼び、アメリカでは「マネージャー」と呼ぶそうです。マネージャーとは「経営する人・管理する人」と考えられます。呼び名や文化の違いはさておき、実際に監督に求められることはどんなことが求められるのでしょうか?


経営に関する名著、『マネジメント』(ドラッガー)には、こんな一節があります。


「複数の人間が協力して、意志を疎通させつつ多様な課題を同時に遂行する必要が出てきたとき、組織はマネジメントを必要とする」


『もしドラ』を読んでいないので恐縮ですが、野球チームにおいてはマネジメントはどのように活用されるのでしょう。「チームとして勝つ」のは共通の目標ですが、そこに至るまでの課題は多様です。とくに野球は求められるスキルが多く、人もたくさんグラウンドにおり、ある意味いろんな「事業」が同時進行しています。それぞれの人間が野球に取り組み、チームとして勝つこと、そのために監督はどんなことをやるのでしょうか。



●マネージャーをしてマネージャーたらしめるのは、成果への貢献という責務(『マネジメント』より)

「マネージャーの役割は、投入した資源より大きなものを生み出すこと」
「直ちに必要とされているものと、遠い将来必要とされるものを調和させていくこと」

これはマネージャーの役割として挙げられているものです。与えられた資源よりもより多くのものを生み出す、つまり「時間対効果」や「費用対効果」がより大きくなればよい、ということです。本の中ではオーケストラの指揮者が例として挙げられています。多様な楽器を調和させ、ひとつの壮大な世界観を創り出すのです。費やしたリソースから何倍も何十倍もの価値を生み出すこと、それがマネージャーのひとつの役割のようです。

野球は「試合で勝つ」という目標があります。それと同時に、学生野球であれば「人間形成」という語句がついてまわることも多いです。監督としては今週末の試合に向けて仕上げていく必要がありますが、同時に一番大きな大会に向けてチームをつくっていくことも大切です。その両方の視点なくして、チーム作りはできません。






●「木を見て森を見ず」から「一帯を見て森を見て木を見る」
とかく『マネジメント』を引用してみました。自分が監督になったら、必ず読み返すと思います。組織を運営し、動かしていくとはどういうことか。簡単な引用はしましたが、心に残る言葉ばかりですし、きっと組織運営に役立つはずです。


監督とは成果を出すための存在です。成果を出すための責任があります。「部分の和」「ポジションごとの力をつける」のは、コーチの役割です。各部分の持っている力を最大限に引き出す能力、これが監督の力です。1年間のチームの成長をデザインし、形にしていくことです。以前所属していたチームの監督に、こんなことを常々言われていました。

「いいか、監督は最後の味付けだ。コーチが下準備して、ほとんど完成させる。お客様に出すときに初めて、かるく塩をを振るのが俺だから。俺は最後の調整役なんだよ」


監督としての責務のために、最後の微調整を加えるのが監督です。その準備をするのが、コーチなどのスタッフです。コーチ陣にはその食材を準備する責務があります。監督は大きな介入はせず、全体の調整を図ることがもっとも重要なスキルなのです。部分ばかり見て全体を見逃す「木を見て森を見ず」では、チームの行方を見失います。「一帯を見て森を見て木を見る」、つまり森自体の周辺から見て(地域や所属周辺一帯もしくは世界!)、自分たちの森を見て、細部にまで眼を届かせる。そして余分なところは削除し、よいところは成長させ、チームを完成させるのです。


●宗教、カリスマ、ディズ○ーランドたれ
全体を構成していくのが監督の役割ですが、優秀な組織はそこに哲学を感じます。そのチーム全体を抱合する世界観を感じるのです。私が広島の武田高校を訪れた際に思ったのは、一番はここでした。端から端まで、すべてが武田高校の世界の一部なのです。ゴールのために、すべてがシステマティック且つ情熱的に動いている状態なのです。ディズ○ーランドの園内掃除の方は、「星屑を拾っています!」といいますよね、雨が上がると雨水で絵を書いてくれることもあります。モノレールから降りて駅から出た瞬間から、そこは夢の国なのです。

宗教には、そこに世界観があります。教典があり、聖地があり、儀式があります。創造された世界観はフィクションであったとしても、確かな力強さがあります。構成された圧倒的な数のストーリーは、人を惹きつけるのです。2000年以上も生きつづけるのは、このストーリーの壮大さ、構成している世界観の強さにほかならないのです。実は、私が映画や小説を読む理由はここにあって、優れた映画や小説は世界観が壮大で構成が素晴らしいからです。ここが自分が監督になったとき、大いに役立つのではないか、と思っています。



世界観を構成するためには、私達がもっと世界を知ることが1つです。広い世界の様々な事象を、積極的に受け入れていく必要があります。大きなものを構成する難しさ、構成方法を知ることです。そしてもう一つ、細部にこだわることです。端から端まで、世界を作り上げることです。この監督して求められる細部の視点、これを養成するのはコーチをしている期間がそれを養成するのだと考えています。

2018年11月1日木曜日

「感覚派」と「理論派」、大事なのは「知覚」


「感覚派」と「理論派」、大事なのは「知覚」


選手や指導者を分類するときに、「感覚派」と「理論派」にわける場合があるようで、「自分は感覚派だから」とかそういったことを表現する場合がある。正直なところを言えば、その分類に興味も関心もないし、統計を取る必要もないと思っている。結局のところ人間は皆「知覚」して生きているし、なにかを考えるときは筋道が通るように「理論的に」考えている。どちらかが優位な場合があるのかもしれないが、知覚がないところに理論は生じず、理論なくして高度は発展はありえない。


●見えている世界や感じる世界は全く違う
運動指導において、この「知覚」を逃すと、指導が成立しなくなる。指導する対象がどんな感覚をもっていて、どのように感じるのか。「もっとアッパーで入っていいよ」と指導する、本人が相当アッパーで打ってもちょうどレベルスイング程度であったりする。形式上はレベルスイングだが、本人がそれをアッパーだと捉えている場合がある。その違いをそもそも認識しなければならない。


●相手の運動感覚に入り込む
以前『運動学講義』(金子朋友)を懸命に読んだ時期がある。この本に、私にとって印象的な一文がある。

「その個人の運動感覚の世界で、どのように理解されているのかに注意を向けなくてはならない」
これは「運動修正における言語認識」という項目にある文である。もう少し簡単に言えば、「相手が受け取る感覚に気をつけて」になる。読んだときに大きく膝を打ったものだが、教えるときには相手の運動感覚に入り込むことが重要なのだと、私は認識した。


●プロ野球選手の「上から打て」は誤解
昨今よく話題に上がるのが「感覚と実際の違い」である。プロ野球選手の感覚では、スピードボールに遅れないために「上から打つ」ぐらいでちょうどいい。そもそも柔軟な肩甲骨や適切な身体技能を持ち合わせているために、「上から打つぐらいでちょうどいい」のである。プロからしたら上から打って打てているから、「自分はそう打っているのだ」と認識している。ここで大問題なのは、「上から」とは一切定義がされていないことだ。定義がなされていないことを教えることは非常に危険で、認識が違うから、間違った伝わり方をしてしまう。


●正しく伝えるためにはを感覚を合わせる
選手から質問を受けたときに、私から質問で返す。「もっと飛ばすにはどうしたらいいですか?」と聞かれても「飛ばすというのは飛距離を飛ばすってこと?飛距離を出そうとすると、多少は確率下がるけどいいの?」など。
飛ばしたいけど試合ではヒットを打ちたい、であればスイング起動は検討する必要がある。そもそも筋肉量が足りないかもしれない。もしくは可動域の問題かもしれない。色々話してみたりする必要はあるだろう。こちらから声を掛けることが多いが、そのときは動作を見てから決める。そして悩みを当ててみる。「もっと飛ぶ感じしない?」とか「変化球止まれる?」とか。自分と相手で会話をして、そのなかで目指す方向を決めていく。しかし、言葉だけでは誤解が生まれる。だからこそ役立つのは、道具である。


●道具をつかって感覚を共有する
正直なところ、まったく同じ感覚を持つことは不可能である。というか、それを検証する術がない。だからそのときに、必ず道具を使う。道具を使うことで、こちらが望む感覚を引き出しやすい。こちらが手本を見せて、「こうだから!」と言えばいい。多少説明はするけど、結局は「こう!」といって、「こうですか?」「違う!」、「こうですか?」「近い!」とか、そんな繰り返し。もちろんしばしば比喩も使うが、これが一番早い。



大事なのは「知覚」だということ。指導者としても、良い動作と悪い動作を「知覚」できなければ指導ができない。もちろんそれを適切に表現する必要があるので、「知覚」も「言葉」も両方必要になる。指導者の道は、1日にしてならず。


8月11日 東北学院vs愛工大名電

 8月11日 東北学院vs愛工大名電 5-3 東北学院〇 かんたんなまとめ:初出場の東北学院が優勝候補の名電を撃破。 140キロトリオと激戦区を勝ち抜いてきた名電だったが、東北学院伊東投手の前になかなか点を取ることができない。初出場かつ新聞記事C評価の東北学院、投打がかみ合い長打...