チーム運営について考えてみたり、実際に自分が監督やったりしてみることで、改めてコーチの重要性であったりスタッフの充実度が大切であることを感じました。そう考えると、監督は本当に自由で、自分の裁量次第でチームの方向性を決めることができます。
その一方で、コーチは監督の方針にしたがってやるしかいない、というところです。もちろん「したがってやるしかない」というモチベーションなんぞで私は動いていませんが、実際の関係性では「監督の意向に従う」ことはマストであります。それなくして、チームは成立しません。
♢監督によってぜんぜん違う
実際コーチとして8年やらせてもらって、現在9年目です。単純計算で入学~卒業のサイクルを3回目、ってところです。最初は右も左もわからず、「コーチって何をすればいいんだ?」という疑問だらけでした。そして先輩コーチに指導をしていただき、何度も当時の監督からも指導をしていただきました。
私自身は指導したチームが現在で3チームです。リトルリーグ・シニア・高校、と小さい子どもからほぼ大人、というところまで関わってきました。その間に監督が変わったりなんだりで、5人以上の監督さんの下で指導をさせてもらっています。そこで一番思うのが、「監督の求めるチーム像を実現させること」です。
「いいか、野球ってのはな・・・」と理論を懇切丁寧に教えてくださった方もおりました。「俺が監督で、俺がNOだったらNOなんだ!」という方もおりました(案の定衝突しましたが)。「自由にやってよ!どんどん教えてよ!」と言ってくださる方もおりました。それぞれたくさん学ぶことがあり、考えさせられることばかりでした。
そのなかで「自由にやってよ!」という方。この方の下でコーチをするのが一番やりやすかったです。「でもね、ここだけはちゃんとできるようにしておいて!」っていつも言われてました。なんといいますか、自由主義のなかにある最低限の法律とでもいいましょうか。必ず守らなければならないラインがありました。
♢コーチはある程度不自由なものである
自由に教えているときはそれほど思いませんでしたが、経験を積む毎に色んなことを考えるようになりました。「きっとこうしたらいいのにな」とか「ここがこうなら、もっとうまくやれるのにな」とか。もちろん提言はしますし、それが受理されない場合もあります。監督と大きく逸れてしまえば、一番は選手が困ります。なので、監督が願う形の育成をしなければならないわけです。そういう意味で、コーチはある程度不自由なわけです。
♢コーチはある程度自由である
しかしその一方で、コーチは勝ち負けを気にする必要がありません。実際の試合で勝ち負けは監督責任ですので、そこを気にする必要はないわけです。その意味で、一人ひとりに向き合うことができます。そういう意味では自由です。だから試合以上に気になるのは、試合のなかで選手たちがきちんと力を発揮できたかどうか、です。勝ち負けよりもプロセスが気になります。ヒットを打った事実よりも、どんな経過で打ったのかが気になります。無失点だったときでも、メカニズムと実際のボールと打者の力量が気になります。
♢監督を理解し、選手を理解し、チームを強くするか
したがって大事なのは、自分のチームの監督を理解することです。何を望み、どんなチームをつくろうとしており、どんな選手を欲しているのか。その材料を揃えるのがコーチの役割です。そこで選手の特性を生かして、よいところを育成し、監督に選んでもらうわけです。そこで監督が「違う」と言えば違うのです。こちらも説明はしますが、監督に合う合わないは正直あります。人間ですからね。
♢育成するのか、監督の理想に近づけるか
最善の育成方法を考えていると、現行のやり方ではうまくいかないこともあります。コーチは「育ってほしい!」ですし、監督は「勝ちたい!」なので、ある種矛盾が生じるんですね。そうなると、どこかで折り合いをつけなければなりません。その折り合いはどこでつけるのか?難しいポイントです。監督の世界観に貢献する必要はありますが、本質を見失ってはいけないのです。ここが難しいので、「ちょっと違うんじゃないかな・・・」と思うときもありますし、自分が判断を誤る場合もありました。ここはセルフコーチングのなかで養っていきたい部分でもあります。