「全国大会へ行こう!」だけでは難しいので。
「ビジョン・ミッション・バリュー」
組織を形成していくときに、企業では「ビジョン・ミッション・バリュー」という3つを定義するようです。世の中では多様な考えがありますが、これを定義するからこそ、自分たちがどんな行動をするのかが明確になります。むしろこの定義がなければ、行動に迷いが生じます。組織のスタートアップの段階で明確にし、会社が、組織が、社員がどんな行動をするべきなのかが明らかになります。
●ビジョンとは「将来の見通し」ということです。どんな将来を形成したいか、ということです
例:KIRINグループ
「日本をいちばん元気にする、飲料のリーディングカンパニーになる」
●ミッションとは「使命」や「存在意義」です。ビジョンの達成のためにどんな行動をするのか?ということです。
例:KIRINグループ
「新しい飲料文化をお客様と共に創り、もっと元気と潤いをひろげていく」
●バリューとは価値基準のことです。社員の行動指針でもあり、共通の価値観です。
例:KIRINグループ
「お客様にとって新しい価値」「お客さまの安全・安心、おいしさへのこだわり」「お客様・パートナー・地域とのWin-Win」「熱意と誠意」
♢「全国大会へ行こう!」だけでは難しい
小難しい話はさておき、これらを野球に置き換えてみます。「目標設定」と勘違いされてしまう場合があるかもしれないのですが、それらとはまた少し別の話です。目標設定をすると、「〇〇高校に勝つ!」とか「〇〇大会ベスト8!」とかそういったことが掲げられます。
しかし、「なぜベスト8に入ることが大切なのか?」「なぜ勝つことが大切なのか?」これらの問いを投げかけられると、困ってしまいそうです。実際に意味があるのは、「目標達成する力」や「ベスト8に入るまでの努力の過程」であって、「ベスト8に入ると何かが変わる」わけではないですよね。
プロ球団などは「勝つことで地域を盛り上げたい」「ファンに喜んでもらいたい」などの行動指針があります。つまり「勝つ=勝つ」ではなく、「勝つ=地域が盛り上がる」という、本来のスポーツの目的以上のものになるわけです。
♢「自分たちの行動が、大きなものにつながっている」という感覚
今夏の金足農業高校の活躍は、秋田県の活性化に繋がりました(応援やセールなどの経済効果はもちろんあり)。「勝って秋田を盛り上げたい」などの言葉があったように、高校野球が地域貢献につながっているわけです。
「自分たちが行動することで、こんな社会になる」というのがまさにビジョンです。そうなると、1回のスイングだって大きな意味があるんだと感じてほしいのです。僕だったら、「日本の野球が世界一のスポーツになっていたらいいな!」というのがビジョンです。ビジョンの元々の語源が「見えること」です。私は、テレビでは海外選手が「日本球界へ挑戦!」として来日したり、日本人が高年俸で海外でプレイしたりする姿をイメージしています。
♢「俺はこのために生まれているんだ!」という使命感
「使命」というとなんだか思っ苦しく感じるところもありますが、きっとあなたにしかできないことってありますよね。今のチームを変えること、情報を伝え広めていくこと、よりよい方向へチームを導くことなど。僕はもっと野球界を前進させたいとおもっています。これがミッションです。自分がミッションを果たすことで、ビジョンが実現します。つまり、「ミッションの先にビジョンがある」ということになりますね。
♢「どんなことを大切にするか」というのが価値基準
もし金足農業高校に所属をしていたら、秋田県を大事にしたいですよね。地域のゴミ拾いをしてみたり、秋田県のよいところをPRしてみたり、応援に来てくださった方々への感謝というものは欠かさないですよね。プロ球団であれば、地域の少年野球への野球教室を行ったり、ファンを大切にするためにファンイベントを行ったりします。それは「地域の人々に支えられている」からであり「ファンに支えられている」から、「地域の人々やファンを大切にする」わけです。これがバリューになります。ミッションのための行動規範といったところでしょうか、使命を果たすために行動基準といいましょうか。
「日本の野球を前進させたいので、〇〇する」みたいなことです。
私であれば、「学び続ける」「指導方法を伝え広める」「眼の前の選手のパフォーマンスアップ」「自立した野球人の育成」「世界で活躍できる選手の育成」「野球の面白さを広める」「より強い組織へ導く」などですかね。考えてみたら色々ありました。
♢これまでは思ったよりも不明確だったかもしれない
自分自身の行動を振り返ってみて、思ったよりも不明確な点が多かったです。「ビジョン・ミッション・バリュー」に当てはめて考えてみると、自分が何をしなければならないのかは明確になります。無意識に生きるのは簡単ですが、より意識的に活動しようと思った次第です。自らのチームの組織づくりに当てはめて、考えてみてください。